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福祉とか心理とか語学とか読書とか

生きるのがつらい時に読みたい『まんが哲学入門』は自殺予防に最適

 本が人を殺すこともあれば、生かすこともある。前者は「ウェルテル効果」と呼ばれ、はてブでも自殺報道のエントリではこぞって叫ばれるようになった。簡単にいえば、メディアが自殺報道を掻き立てると、感化された大衆が自ら死を選んでしまう現象である。後者にも同様の「~効果」なる言葉があってしかるべきだが、いまだ明確な定義は存在しない。本によって救われた、というシチュエーションが少ないからだろうか。教室に居場所のない文学少女が、図書室を安住の地とする物語はいくらか思いつくが、悲嘆の果てに手にとった一冊の本が、生きる力を与えてくれる筋書きは想像しづらい。

 

 『まんが哲学入門』は出版当時、ツイッター等々で「真の意味で自殺対策となる一冊」との触れ込みだった。実際に読んでみたところ、目からうろこ、心から頷ける内容だった。かわいいキャラクターとともに展開されるマンガでありながら、「生きる」ことの意義に真正面から立ち向かっていたからだ。医学部のカリキュラムにて生命倫理や死生学を学ばせるように、この本では「わたしが生まれた理由、生きる理由、存在する理由」を満遍なく、読者に考えさせる。「問い」に対する明確な答えは提示していない。しかし、読み進めていくうちに、自然と考えさせる仕組みが備わっている。

 

 もともと自殺対策に対する興味はあったから遅かれ早かれ購入する予定だった。しかし、私生活で不幸なことが連続して起こった2015年の初め、「少しでも気が晴れるなら」と、書店で涙をぬぐいつつ手にとったのがこの本だった。結果として、触れ込みどおりの効果はあったと思う。たかだか800円程度の新書に、「生きろ!」と背中を叩かれる経験は、今まで想像もつかなかった。本が人を生かす、確かにそのとおりだ。

まんが 哲学入門――生きるって何だろう? (講談社現代新書)

まんが 哲学入門――生きるって何だろう? (講談社現代新書)

 

 

若きウェルテルの悩み (まんがで読破)

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