洋書初心者から上級者まで楽しめる 『I Thought My Father Was God』
今回はオススメ洋書を紹介してみる。
I Thought My Father Was God / Paul Austerほか
I Thought My Father Was God: And Other True Tales from Npr's National Story Project
- 作者: National Story Project,Paul Auster,Nelly Reifler
- 出版社/メーカー: Picador USA
- 発売日: 2002/09/07
- メディア: ペーパーバック
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Kindle版だと1000円ちょっと。CD版もある。
NPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)のニュース番組「Weekend All Things Considered」との共同企画。現代アメリカ文学の第一人者の選による、NPRの人気番組に寄せられた話をまとめた短篇集。日常のできごとがいかに人の心を打つかを教えてくれる。
紹介にあるとおり、ポール・オースターがMCを務めるラジオ番組に寄せられた投稿をまとめて一冊の本にしたのが本作。180編にもなる投稿は、その内容によってAnimals, Objects, Families, Slapstick, Strangers, War, Love, Death, Dreams, Meditationsの10ジャンルに分けられている。
特に面白いのはAnimalとWarかな。前者はペットとの愛情話もあれば、屠殺間際の家畜話など、なかなか残酷なものもある。後者は、WW2関連が多く、日本も話によく出てくる。なお、表題作の"I Thought~"も、戦時中に子供だった投稿者の一日を描いた話である。隣に住む意地悪ジジイを、投稿者のお父さんが一喝するという、表題作にしては地味なお話なのだが……。
本作をオススメする理由
- いわば短篇集なので、一話あたりが短くて読みやすい
・多少難しい表現があっても乗り切れる分量である
・難しいと思ったら別の話にすぐ移れる - どのお話にもアメリカ人の国民性が色濃く出ている
・さまざまな地域・年代のリスナーが投稿している
・市民が綴る「アメリカの歴史」を読んでいる気分になる - 大学入試・講義にも用いられる教材でもある
・ラジオ番組発の作品なので、オーディオブック&CDもある
・多様なジャンルのノンフィクションアンソロジーである
やっぱり洋書は洋書なので、どうしても理解できない話があったら翻訳版と照らし合わせるのもいいかもしれない。
なお、"True Tales of American Life"という別名義で同内容の本も出ている。こっちのほうが安いけど装丁はショボい。