うっかり口をすべらせる人は『悪意の心理学』を読もう
面白そうな本を見つけたので衝動買い。
嘘、皮肉、罵倒、偏見…。面と向かっての会話であれ、ネットでのやりとりであれ、言葉によるコミュニケーションはしばしば暴走し、相手に対して「悪意」の牙を剥く。その悪意はいじめや差別、クレーマーやセクハラ、政治家の問題発言を生む。一方で、意図していないのに加害者になってしまうこともある。悪意はなぜ生まれ、どう表現されるのか。どうすれば、悪意に立ち向かえるのか。社会心理学・言語心理学の観点から考察。
コミュニケーションの負の側面に着目し、社会心理学&言語心理学の見地から「失言、攻撃、嘘、偏見と差別など種々の問題について論じていく(はじめに iii)」。なお、言語とコミュニケーションの基本事項は前著の言語の社会心理学 - 伝えたいことは伝わるのか (中公新書)に詳しい。
前半部では対人場面の会話トラブルや悪意の表現例を紹介し、後半部では悪意に至る経緯や傾向などについて触れている。
敬語ミス、うっかり系(先輩にタメ口)、配慮なし系(「なんでもいいよ」連呼)、自虐風自慢、周囲に遠慮するあまり逆にうざったくなる(「大丈夫」連呼)など、人をイラつかせる会話例がここまで豊富に紹介されているのは、本書とYahoo!ニュースのコメント欄ぐらいじゃないだろうか。
読み終えた今、「俺ももっと言葉遣いに気を配らなきゃなぁ」という気づきが得られたものの、それ以上に「◯◯さんや△△さんに読んでもらいたいな」という新たな悪意が喚起された一冊である。